眼差しグラフィティー #3
- 2009 01/08 (Thu)
「それでさ、先生が・・・」
「そうそう、自習してた時でしょ」
「竹刀持って入ってきてさー」
中学時代の話題は盛り上がり、時間を忘れさせてくれた。オレたち以外に誰もいない駅は懐かしい思い出に花を咲かせるにはちょうど良かったようだ。高校に入学してからは感じられない楽しさ。
神崎の笑い顔が心地いい。これだ。二人の間で流れていた雰囲気は。
「やっぱり楽しいなー、岩本君とこうやって話すのって。なんか中学時代に戻ったみたい」
そういうと神崎は今までの笑顔を苦ませて、現実をみつめたように正面を向いた。
「なんでかな・・・」
そして膝の前で両手をギュッと組み、肩を竦めて切り出した。
「他の人だとダメなんだよね・・・。なんか疲れちゃうっていうかさ・・・」
高校の同級生なんて未だに敬語だもん・・・、と思いを馳せるように遠くを見つめる。オレは彼女のそんな目を知らなかった。
「そりゃ神崎が猫かぶってるからだろ。見た目おとなしそうだもんな」
「そんなこと・・・」
「実際は結構ドジで気が強いのにさー。オレも最初はダマされたもん」
おどけたオレに対して、神崎は受け流すように返答する。
「ちがうよ。きっと本当の私はおとなしくて・・・。今は岩本くんにつられてるだけなんだよ」
「んだよ、それ。オレのせいかよ」
「だって実際そうなんだもん」
これがオレたちの中学時代の雰囲気。でもどうしてか、神崎は顔を曇らせて髪を流す。
「でも・・・私はこういう私の方が好き・・・。だから本当は・・・私・・・岩本くんと・・・」
「え?」
今までの会話と関係の無いような内容に頭が回らない。なんて言ったんだろう。
そんなオレをみて神崎は慌てて話題を変える。
「そ、そういえば岩本くん、清水さんとはどうなったの?」
勝手にハナシのハンドルを切った神崎は、突いてはいけなかったかと焦り、手振りで訂正する。
「あ、ホラ、一応、私が仲を取り持ったわけだしさ」
そっか、そうだったな、と思い出した。別に言いにくくも何ともないんだけど、聞かれたくはなかった。
「・・・うん・・・卒業と同時に自然消滅って感じかな。ま、しょうがねぇーよな。オレ本当は他に好きな奴いたし・・・」
オレは苦い思い出に感慨に耽るよう呟いた。
それに対して神崎は驚いたように声を荒げた。
「え!? じゃあ好きな人いたのに清水さんと付き合ってたの?」
そんな気持ちの通じない苛立ちに、オレも声が大きくなる。
「しょうがねぇじゃん。そいつはオレのこと別に何とも思ってなかったみたいなんだから」
「みたいって何? ちゃんと聞いてないの?」
「答えわかってんのにそんなこと聞けるかよ!」
「そんなの聞いてみなくちゃわからないじゃない!」
カッと頭に血がのぼり、怒りにまかせて言葉を放つ。神埼もカチンときたのか言い返す。
「普通、好きな相手だったら、別の別の女を紹介したりしねぇだろ!!」
「そんなのわからないじゃない! 付き合ってもいないのに友達から頼まれて断るなんてことできると思う!?」
「でも、そんなことされてみろ!! 誰だって自分は何とも思われてないんだって思うだろーが!!」
「でも、それで付き合ったりされたら女の子の方がずっと傷つくじゃない!!」
・・・
・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・あれ? なんか・・・これってもしかして・・・・。 ビクッ!
「あ〜かったりぃな〜」「早く確認してコーヒー飲もうぜ」
警備員の声がする。こそこそと隠れていると、足音は離れていき、階段を上っていった。
自動販売機の陰に隠れるカタチになったため、神崎の肩とオレの肩が触れ合う。ドキドキと心臓の高鳴りが止まらない。
「・・・よく考えたら別に隠れる必要ないんじゃない?」
「・・・そ、そうだよな。別に悪いことしてるわけじゃないし・・・」
ギクシャクした会話とは反対にオレたちの指は時折、ピクッと触れ合う。
「・・・行っちゃったね・・・」
「そうだな・・・」
心臓が張り裂けそうだ。高鳴りは止まるどころか、身体全体に反響したように広がる。
「あ・・・あの・・・さっきの話ってもしかして・・・やっぱり・・・」
喉がゴク・・・となり、神崎を見つめてしまう。その華奢な身体、腰にまで届きそうな長い髪、普段は色白なのに赤みがかった肌・・・。
神崎が振り向いた瞬間、心臓がバクンと跳ねる。神崎の頬が苦しそうなほど赤い。視線が絡み合い、身体は自然と前に傾く。かわいい――
両肩をぐっと掴み、瞳をみつめる。
神崎はスッと視線を横に逸らす。その目はとろんと甘い香を漂わせている。
「あ・・・・・・」
そっと顔を近づけ、唇を重ねる。
え・・・・
神崎の頬を涙が伝っていた。
どうしようもなく気の入っていたオレは、いい言葉が浮かばず、熱くなった顔を伏せた。
「ご、ごめん。でも・・・オレ・・・適当な気持ちじゃなくて・・・ずっと前から・・・」
まさか泣かれるとは思わなかった。自分ばっかり盛り上がって結局は・・・・・・え?
抱きつかれた。神崎は涙を溜めたまま肩に抱きついてきた。
「ちがうの・・・嬉しいの・・・・今日・・・久しぶりに岩本君と会って・・・それでやっぱり岩本君が私にとって特別な人だって・・・わかったから・・・」
ボクは神崎の口元に手を添える。伝う涙が薬指を濡らした。
「神崎・・・」
「岩本君・・・」
惹かれあう彼らは、先ほどとは違う空気と想いに触れながらキスした。
彼らにもう言葉は必要ない。
大切な想いはすでに重なり合ったのだから。
「そうそう、自習してた時でしょ」
「竹刀持って入ってきてさー」
中学時代の話題は盛り上がり、時間を忘れさせてくれた。オレたち以外に誰もいない駅は懐かしい思い出に花を咲かせるにはちょうど良かったようだ。高校に入学してからは感じられない楽しさ。
神崎の笑い顔が心地いい。これだ。二人の間で流れていた雰囲気は。
「やっぱり楽しいなー、岩本君とこうやって話すのって。なんか中学時代に戻ったみたい」
そういうと神崎は今までの笑顔を苦ませて、現実をみつめたように正面を向いた。
「なんでかな・・・」
そして膝の前で両手をギュッと組み、肩を竦めて切り出した。
「他の人だとダメなんだよね・・・。なんか疲れちゃうっていうかさ・・・」
高校の同級生なんて未だに敬語だもん・・・、と思いを馳せるように遠くを見つめる。オレは彼女のそんな目を知らなかった。
「そりゃ神崎が猫かぶってるからだろ。見た目おとなしそうだもんな」
「そんなこと・・・」
「実際は結構ドジで気が強いのにさー。オレも最初はダマされたもん」
おどけたオレに対して、神崎は受け流すように返答する。
「ちがうよ。きっと本当の私はおとなしくて・・・。今は岩本くんにつられてるだけなんだよ」
「んだよ、それ。オレのせいかよ」
「だって実際そうなんだもん」
これがオレたちの中学時代の雰囲気。でもどうしてか、神崎は顔を曇らせて髪を流す。
「でも・・・私はこういう私の方が好き・・・。だから本当は・・・私・・・岩本くんと・・・」
「え?」
今までの会話と関係の無いような内容に頭が回らない。なんて言ったんだろう。
そんなオレをみて神崎は慌てて話題を変える。
「そ、そういえば岩本くん、清水さんとはどうなったの?」
勝手にハナシのハンドルを切った神崎は、突いてはいけなかったかと焦り、手振りで訂正する。
「あ、ホラ、一応、私が仲を取り持ったわけだしさ」
そっか、そうだったな、と思い出した。別に言いにくくも何ともないんだけど、聞かれたくはなかった。
「・・・うん・・・卒業と同時に自然消滅って感じかな。ま、しょうがねぇーよな。オレ本当は他に好きな奴いたし・・・」
オレは苦い思い出に感慨に耽るよう呟いた。
それに対して神崎は驚いたように声を荒げた。
「え!? じゃあ好きな人いたのに清水さんと付き合ってたの?」
そんな気持ちの通じない苛立ちに、オレも声が大きくなる。
「しょうがねぇじゃん。そいつはオレのこと別に何とも思ってなかったみたいなんだから」
「みたいって何? ちゃんと聞いてないの?」
「答えわかってんのにそんなこと聞けるかよ!」
「そんなの聞いてみなくちゃわからないじゃない!」
カッと頭に血がのぼり、怒りにまかせて言葉を放つ。神埼もカチンときたのか言い返す。
「普通、好きな相手だったら、別の別の女を紹介したりしねぇだろ!!」
「そんなのわからないじゃない! 付き合ってもいないのに友達から頼まれて断るなんてことできると思う!?」
「でも、そんなことされてみろ!! 誰だって自分は何とも思われてないんだって思うだろーが!!」
「でも、それで付き合ったりされたら女の子の方がずっと傷つくじゃない!!」
・・・
・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・あれ? なんか・・・これってもしかして・・・・。 ビクッ!
「あ〜かったりぃな〜」「早く確認してコーヒー飲もうぜ」
警備員の声がする。こそこそと隠れていると、足音は離れていき、階段を上っていった。
自動販売機の陰に隠れるカタチになったため、神崎の肩とオレの肩が触れ合う。ドキドキと心臓の高鳴りが止まらない。
「・・・よく考えたら別に隠れる必要ないんじゃない?」
「・・・そ、そうだよな。別に悪いことしてるわけじゃないし・・・」
ギクシャクした会話とは反対にオレたちの指は時折、ピクッと触れ合う。
「・・・行っちゃったね・・・」
「そうだな・・・」
心臓が張り裂けそうだ。高鳴りは止まるどころか、身体全体に反響したように広がる。
「あ・・・あの・・・さっきの話ってもしかして・・・やっぱり・・・」
喉がゴク・・・となり、神崎を見つめてしまう。その華奢な身体、腰にまで届きそうな長い髪、普段は色白なのに赤みがかった肌・・・。
神崎が振り向いた瞬間、心臓がバクンと跳ねる。神崎の頬が苦しそうなほど赤い。視線が絡み合い、身体は自然と前に傾く。かわいい――
両肩をぐっと掴み、瞳をみつめる。
神崎はスッと視線を横に逸らす。その目はとろんと甘い香を漂わせている。
「あ・・・・・・」
そっと顔を近づけ、唇を重ねる。
え・・・・
神崎の頬を涙が伝っていた。
どうしようもなく気の入っていたオレは、いい言葉が浮かばず、熱くなった顔を伏せた。
「ご、ごめん。でも・・・オレ・・・適当な気持ちじゃなくて・・・ずっと前から・・・」
まさか泣かれるとは思わなかった。自分ばっかり盛り上がって結局は・・・・・・え?
抱きつかれた。神崎は涙を溜めたまま肩に抱きついてきた。
「ちがうの・・・嬉しいの・・・・今日・・・久しぶりに岩本君と会って・・・それでやっぱり岩本君が私にとって特別な人だって・・・わかったから・・・」
ボクは神崎の口元に手を添える。伝う涙が薬指を濡らした。
「神崎・・・」
「岩本君・・・」
惹かれあう彼らは、先ほどとは違う空気と想いに触れながらキスした。
彼らにもう言葉は必要ない。
大切な想いはすでに重なり合ったのだから。
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Comment
いやぁああ
なんだこの展開!!
読みながらニヤニヤしちゃうよ
胸がキュンキュンしちゃうよー
続きを期待ww
はぁ…素敵ですね(><)
まだ2人の物語には続きがあるのでしょうか?あるんですよね?
もちろん痴漢物語も気になりますw
お体、くれぐれもご自愛くださいね!
こんばんは、レオナさん。
お身体の具合はいかがですか?
お話のつづき、楽しく拝見しました。
どきどきの急展開ですね。
そしてこれが甘酸っぱいという気持ちなのですね。
また楽しみにしています。
こういう話を改めて読むと、
高校時代に戻りたいって思うのは
オレだけでしょうか・・・?
でも、痴漢の話も読みたい^^;
>たなさん
文章は糞ですが楽しんでいただけたなら幸いです。
続き…ですか?ないですよw
>都筑さん
ご覧頂きありがとうございます。
続きはないんですが…少なくとも痴漢はないですがw
>紅さん
身体は大分回復しました。鼻水が少し辛いですがorz
甘酸っぱいというよりは、ブルーハワイのような感じになっちゃいましたが、良いハナシになったかと思います。
>カッツェさん
高校時代に失った青春は一度きりですからね。
痴漢ネタはこのハナシのキャラが好きなのでやめますよ(*^−')ノ
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